だるいひと

mori05022008-06-08

金曜の夜、仕事を終え会社から家に帰るとおそろしく身体が脱力した。だるくて何もしたくなかった。ビールを飲むのも面倒なほどだった。そのまま泥のように眠りたかった。朝は誰にも起こされず、寝ていたかった。ひどく凝った首と肩と足の裏を誰かに揉み解してもらいたかった。週末の予定を全部キャンセルして怠惰にすごしたかった。できれば土日限定ではなく無期限に自分が怠惰な日常に倦んでしまうまでこのダルさ十全に味わいたいというような気持ちになった。

脱力の仕方が極端だと甘美な誘惑にかわるということだ。何もしたくないという意識に身体が順応したのかもしれない。

「だるい人」といえば、ムーンライダーズの傑作『DON’T TRUST OVER THIRTY』におさめられている名曲だ。何故か、蛭子能収が作詞している。(80年代の蛭子さんはガロで、シュールな漫画を描いて大活躍していた!)


「だるい人  作詞:蛭子能収 作曲:鈴木慶一
突然 足がだるくなり  道に寝た
ミミズもいない アスファルト
社長がやってきて  ラ・ラ・ラ・・・

突然 顔がだるくなり  ヒゲを剃った
スッキリしない 台所
女房がやってきて  ラ・ラ・ラ・・・


月にでも行ってみたい
そんな気がする四十代

できればナンにもしたくない
金さえあればの四十代

あー 金がほしい

自由がほしい

なにもしたくない


突然腕がだるくなり お茶をこぼした
濡れた机拭く気もない
ストローもってきて チュ・チュ・チュ・・・

さよなら 社長に手を振って
ついでに 女房に手を振って
子供も一緒にさよなら
金さえあればの四十代

あー 金がほしい

自由がほしい

なにもしたくない


突然 頭がだるくなり  目を閉じた

真っ暗闇で 気持ちいい

突然 頭がだるくなり  目を閉じた

真っ暗闇で 気持ちいい

『DON’T TRUST OVER THIRTY』には他にも「9月の海はクラゲの海」や「ボクハナク」も収録されていて、素晴らしすぎる。歌謡ニューウェーブの総決算的な作品だ。

肩こりがひどいのは長時間間違った姿勢でパソコンに向っているからだ。背筋をまっすぐにのばすことが出来ない僕はこのまま歳をとったらどうなってしまうのだろうという不安になる。不安に苛まれても、能天気なので、夜はぐっする眠って次ぎの日には忘れることだってできます。進化はおろか、進歩も成長もありません。

DON’T TRUST OVER THIRTY(紙)

DON’T TRUST OVER THIRTY(紙)