実録・連合赤軍を観た。

西部講堂での先行上映で「実録・連合赤軍」を観た。京都シネマで先週買ったチケットの番号からけっこう空いているのではと、ぎりぎりになって出掛けたのだが、甘かった。西部講堂は満員だった。一番うしろにようやく席を見つけてもぐりこんだ。

暖房がないのは承知の上で、膝にかけるブランケットを持っていったのだが、並べられたパイプ椅子の上にひとつひとつ発砲スチロール製のマットが置いてあった。そういう小さな心遣いが嬉しい。3時間を超える上映時間を鑑みての措置に違いない。上映会を手がけるスタッフの意気込みが伝わってくる。

映画は1960年安保の映像からはじまる。デモが繰り返され、ジム・オルークのBGMもストーンズのストリート・ファイティング・マンのようだ。


映画は事実を追ってすすんでいく。3時間の長さはまったく気にならない。僕と彼らの間に差はない。特別でもなんでもない彼らはその純粋でまっすぐな心根故に先鋭化していく。山岳ベースでの事件やそこにいたる過程、その理由を若松監督は複雑で理解できないものではなく、集団のなかで簡単に起こるものとして描いている。リーダーの間違いに抗えないまま、集団で暴走していく。リーダーもそれが自己保身のためだときっと心の底では感じていたはずだ(永田洋子を演じた並木愛枝さんが上映会後のティーチ・インで演じながらその心理を語っていたのが印象的だった)。

それゆえに「勇気がなかったんだよ」という言葉が僕自身にも深く突き刺さる。
胸ぐらをつかまれてぐらぐらと揺さぶられた。動揺が残っている。

200ページをこえる分厚いパンフレンットに若松監督のすべてを知って判断をして欲しいという強い意志を感じた。連合赤軍事件はその地点に突発的にあらわれたものではなく、第二次大戦から続く社会の変革やいくつかの事件、ベトナム戦争を通して、必然的にそこに帰結したのである。その過程を知らずして、この事件や映画の本質にたどりつくことはできない。

今日のティーチ・インの為に京都の来た若松監督と並木愛枝さん、地曳豪さんは3月29日にも大阪の2館と京都シネマで挨拶するそうだ。

映画館で観るべき映画です。みなさんも足を運んでください。

京都シネマHP(京都※3月29日〜)
テアトル梅田(大阪※3月22日〜)
第七藝術劇場(大阪※3月29日〜)


若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

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