絶滅を救え!

mori05022009-03-05

佐渡島で放鳥したトキが海を越え、さらに県境も越えて長野県で見つかったらしい。たったひとりで、遠くまで飛んでいったトキは自由を手にいれたのかも知れないけれど、繁殖する相手もなく、このまま本州のあちこちを移動するのであれば、次ぎに世代を残すことは不可能だ。

少し前の読売新聞の書評欄「本のよみうり堂」で『ニホンカワウソ/安藤元一』(東京大学出版会)という本をとりあげていた。この本の書評によるとニホンカワウソは1990年代に絶滅したというのだ。最近は痕跡を発見したという報道もなかったのだけれども、確かに90年代には淡い期待を持っていた。しかしそれはファンタジーのようなものだったわけだ。

かってはネス湖ネッシーも居ると思っていた。しかもそれは古代から生き続けている恐竜だと勘違いしていた。個体が数万、数十万年も生きるはずはなく、それには世代交代が必須の条件で、そのためにこの広い自然のなかでペアをなれるだけの数が生きていないとペアリングは不可能で、ある一定の地域で円滑にペアリングをしようと思えば、それなりの生息数が確認できないと異性に出会うことも物理的に不可能だ。

だからニホンカワウソはもう居ない。ニホンオオカミももちろん居ない。夢のない世界に生きていることを後悔するわけではないが、どうにもやりきれない気持ちになる。それらの動物が絶滅したことに日本人として加担しているのだとしたら、こんな悲しいことはない。

うちの本棚に絶滅動物に関する本はないかと思って探したらみつかったのは山本素石の『逃げろツチノコ』 (二見書房)だった。いや、ツチノコは絶滅したのではなく最初から空想上の動物だった。

ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学 (National History Series)

ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学 (National History Series)

逃げろツチノコ (1973年)

逃げろツチノコ (1973年)