ひとりのキャンプ

田淵義雄の「アウトドアライフは終わらない」を読んでいる。釣りとは別に毎年、何回かキャンプにいくのだが、ひとりで行きたくなった。車でキャンプのできる河原を見つけ、テントをたて、たき火を燃やし、ビールを飲むだけの軟弱なキャンプ。それはそれで、おもしろいのだが、ソロキャンプに行きたくなったのだ。自転車であの峠を越え、さらに林道から山道を登り、誰もいない静かな川のそばで、こぶりのテントをたて、ひとり分の食事を作り、川の水で冷やしたビールを飲もう。夜が更けてくると、暗闇が少し怖いかもしれないけれど、そのうちに眠ってしまうはずさ。

朝には川の流れで顔を洗おう。熱いコーヒーをいれて、また峠を越えて家に帰るのだ。秋が深まる前に計画をたてよう。まずはテントを買わないとな。それと、昔みたいに峠を自転車で越えていく体力はないから、自転車でツーリングもしないと。

京都から出ようと思ったら、いくつも峠があるので、昔はいろんなところを走っておもしろかった。僕は孤独だったので、週末毎に登山マップを見て、コースを探した。朝早くに起きて、いくつもの峠を越えて、息もたえだえになったこともある。

10年も前のことなのに、いまだに鮮明に思い出す風景がいくつもあって、僕はときおり胸がしめつけられるような気分になる。

「アウトドアライフは終わらない」にはヘンリー・ソローの「森の生活」から、なんども文章がひかれている。僕は一度、読み出して、中途でつまらなくて読みきれなかった。真面目に読みすぎていたのかも知れない、と思う。いつか、また読んでみよう、と思う。