本とアンテナ

古本屋やブックオフへ行く回数は増えたのに、逆に新刊の書店に行くことがめっきり減ってしまった。
昔は毎日のように丸善や駿々堂に立ち寄っていたのにな。

新刊書店に行くとやっぱり新しい本との出会いがある。あちこちの棚を眺めているうちに新しい刺激的な本に目がとまり、思わず手をのばす。ページをめくって中身を吟味する。

ところがいまや、古本屋で気になるタイトルの本を見つけたところで、開くのは見返しのところだけだ。値段だけがその本を買うかどうかのポイントだ。

どんな本の選び方をしようが個人的にはどうでもいいのだが、今のような方法で正しく本と出会えるのかどうかまったく自信がない。ずっと以前の、毎日立ち寄った丸善や駿々堂の遺産だけで、今、本を選んでいる。アンテナは古びてしまった。空き家の屋根の上のアナログアンテナのようだ。さび付いて、電波を受信しても、それを映すテレビはもうない。そのうち電波の配信すらストップしてしまう。